青いツバキを作るには
最近全然ヤマボウシの話してないですけど種を撒いても進捗がわかるのが数年後なので、年一で変わる最近ハマってる植物の話しかできませんね。
ツバキはツバキ科ツバキ属の常緑樹で日本で主に生育しているものはヤブツバキ(Camellia japonica)やサザンカ(Camellia sasanqua)、チャノキ(Camellia sinensis)などがある。
江戸時代から園芸種として人気があるツバキは様々な花色や形態が品種改良によって作出されている。ツバキの主な花色は主に白色や赤色、桃色などがあるが、黄色の花を咲かせるツバキが中国やベトナムなどで発見され、キンカチャ(金花茶 Camellia chrysantha)などとの交配によって黄色系ツバキも作出されている。
紫色のツバキはいくつか品種化されているが安定した紫色(青紫)や完全に青い色のツバキは未だ存在しない。青いツバキが今のところ存在しない理由は植物の花色に関わる色素アントシアニンのうち鮮やかな青色を発色する色素デルフィニジンを作る酵素を持っていないからだ。青色を発色する機構はデルフィニジンだけでなく、赤色を発色するシアニジンにより濃赤紫色など青色に近い発色をするものもある。多くのツバキ属はデルフィニジンによる発色機構を持っていない。
ツバキ属はアルミニウム集積植物であり植物体に本来は生育に有害なアルミニウムをため込むことができる。同様にアルミニウム集積植物であるアジサイは酸性土壌では青色、アルカリ性土壌では赤色になるとされている。アジサイの発色には様々な要素により決定されている。アジサイが青色になる際はアジサイに含まれるデルフィニジン-グルコシドが土壌から吸収されたアルミニウムイオンとアジサイに含まれる5-0-カフェオイルキナ酸が結合することで複合体(キレート化)を作り、液胞内の光の吸収スペクトルが青色様になるためだとされる。
アルミニウムとアントシアニンの結合による発色だけでなく、その植物に含まれる有機酸の差異によっても発色が左右されている。アジサイにはキナ酸と呼ばれる有機酸が含まれるが、5-0-カフェオイルキナ酸の異性体である3-0-カフェオイルキナ酸には植物内のアルミニウムのキレートを阻害する作用がある。また、土壌中のリン酸が多いと難溶性のリン酸アルミニウムになるためアルミニウムの吸収が阻害され赤色が発色しやすくなる。※2
ツバキ属の中でデルフィニジンを含むとされているのは上述のホンコンツバキのほかにサザンカやカンツバキもデルフィニジン配糖体を持っているものがある。※1
それらのツバキ属に含まれるデルフィニジンはアジサイと同じデルフィニジン配糖体であり、赤色から青色に移り変わるアジサイと同様の発色を期待したい。
ツバキ属の植物はアジサイと同様にアルミニウム集積植物であり、特にチャノキでアルミニウムの含有量が顕著である。※3 ※4 一般的にアルミニウムは植物にとって有害であり、根の伸長を抑制するなどとされている。アルミニウム集積植物は体内のアルミニウムイオンを不活化することで無害化し、形成された錯体が鮮やかな色を示すことがある。デルフィニジンを含むツバキ属の植物はアジサイとの共通点も多く、アント死人の総量、デルフィニジンの比率、酸性度の調整が整った品種が作出できれば青色のツバキ属が実現できないだろうか。
ツバキの紫色品種は”千年藤紫”、”青いサンゴ礁”などがあるが”千年藤紫”の発色機構に関する研究が行われていた※5 紫花のツバキ”千年藤紫”は濃紫花のツバキで主要アントシアニンはシアニジン3-グルコシド、シアニジン3-p-グルコシドからなり、一般的なヤブツバキと変わらない。花色はアルミニウム含有量によって大きく差異があり他の金属錯体は見られなかった。
シアニジンによる紫系ツバキ属の作出はアルミニウムによる作用が大きく”青いサンゴ礁”もヤブツバキ系であるため同様の発色機構だと思われる。シアニジンによる青色発色も近い色を出すことはできそうだが、長い歴史上実現できていない、また鮮やかな青色に近づきたいためデルフィニジンによる青色発色を考えたい。
キンカチャなどとの交配による黄色系ツバキについてだが、完全に黄色を発現するツバキは作られていない。黄味がかった色、もしくはクリーム色のものが多く見受けられる。中国やベトナム原産の黄色系原種椿からして黄味が強めのクリーム色のものが多く感じられる。実際、黄色系ツバキのカロテノイド量は他の黄花植物に比べ、完全な黄色を発現するほどではない。※6 黄色系ツバキの他の発色機構としてフラボノイドのケルセチンを持ち、そのうちのケルセチン 3‐ルチノサイドとアルミニウムが結合してできる錯体を作る。その錯体を実験で疑似的に作成したものは吸収スペクトルがキンカチャの吸収スペクトルと類似した数値になっている。
ツバキ属は4つの亜属に分けられていて、原始ツバキ亜属・ツバキ亜属・チャ亜属・後生ツバキ亜属に分類される。キンカチャはチャ亜属の中のキンカチャ亜節に含まれる。ツバキ科植物のアルミニウム集積性の分布によると最もアルミニウム集積性が高かったのはチャノキでである。同じチャ亜属であるキンカチャのアルミニウム集積は実験の対象が葉と花であるため一概に比較できないが同様に高いのではないだろうか。
チャノキの繁殖は一般に挿し木で行われ、接ぎ木はあまり行われない。ツバキは成長を促進するため、伸長が旺盛なサザンカに接ぐことがある。チャノキとツバキは接ぎ木の和合性が低く行われていないが、チャノキのアルミニウム集積上限の高さからチャノキとの交配などにより発色度合いを高めることはできないかとも思う。
デルフィニジンを含むツバキ属はホンコンツバキだが、植物園に植栽されているもの以外個人入手が困難なため同様にデルフィニジンを含むサザンカを用いて育種を行いたい。
問題となるのは倍数性でツバキは2n=30なのに対してサザンカは2n=90の6倍体であることだ。ツバキとサザンカの交配種であるハルサザンカが存在するが稔性が低く、結実した場合も実生の倍数性が3倍体~10倍体と不安定な異数体になりやすい。そのためサザンカ品種間での交配かツバキ属の他種の1代雑種での青色発現が必要になる。
サザンカ品種のうちデルフィニジンを含むことがわかっている品種は少数のため、可能な交配組み合わせが限られてくる。※1の表から、まず入手可能なデルフィニジン含有品種としてサザンカ品種”七福神”と”緋の司”を入手した。当面両者の交配に加えて、アルミニウム吸収特性の高いチャノキやアントシアニン含有量の高い黒ツバキなどと交配してみたいと思う。
引用元
※1ツバキ属植物の花色素に関する研究-とくに系統発生との関連において-
※2アジサイの花色の発色機構に関する研究
https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/record/42992/files/DA08190_abstract.pdf
※3アルミニウム集積植物に関する研究
http://lab.agr.hokudai.ac.jp/botagr/pln/nabe/Topics/Alaccum.htm
※4植物中のアルミニウムにとフッ素の関連性に関する研究
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dojo/48/7-8/48_KJ00001686734/_pdf/-char/ja
※5ヤブツバキ「千年藤紫」の紫色花色発言におけるアルミニウムの関与
https://www.naro.go.jp/project/results/laboratory/flower/2015/flower15_s04.html
※6黄花ツバキ属植物キンカチャの花色発色機構
https://bsj.or.jp/jpn/general/bsj-review/BSJreview2011A2.pdf
ツバキも買ってしまった
以前、生垣で見たことがある白花で小輪のツバキの品種が気になっていた。秋ごろ咲いていた記憶があったので花期が早い品種であろうと花期で検索をかけた。
一番記憶に近いのは嵯峨いうツバキだったけど何か違う。どうやらツバキの嵯峨には初嵐と白玉という品種があるらしい。この2つは10月頃から咲くらしく物珍しさで前買っていた夏に咲くアザレアツバキと交配できないかと思っ他のもあってひとまず初嵐を買ってきた。
アザレアツバキが8月頃咲いたので様子を見ていたがまだまだ初嵐が開花するには早すぎたので花粉を冷凍して初嵐に受粉してみたが、冷解凍方法が悪いのか、木が未熟なのか、そもそも受粉できないのか、そのまま雌蕊が傷んで落ちてしまった。
初嵐の早咲き性が遺伝するのなら他のツバキにも積極的に受粉を試みたいが。
自分が昔植えた実生のツバキは去年は八重咲だったが今年は普通の一重咲きになっている。その代わり11月頃から咲き始め3月ぐらいまで残りそうな蕾を残している。
もう一本同じ木から採った実生は花色は同じだが毎年2月頃から咲き始め4月終わりまで咲いている。ツバキの遺伝法則はよくわからん。
ツバキを調べているうちに自分が欲しかったのは白侘助だということがわかった。初嵐の花はなんか違うんだよなとは思っていたが。
白侘助はヤブツバキとチャノキの交配種らしいとのことだが、らしいっていうのは素人の自分でもなんか違くね?とは思う。ツバキとチャノキの交配は不稔になりやすいっていうのはそれらしいとは思うけど。
ツバキとチャノキは遺伝的には結構離れてるらしくて、ツバキ亜属とかチャ亜属とかに分けられるらしい。ヤマボウシもミズキ亜属とヤマボウシ亜属とかあるけどこの2つはとても交配できそうには確かに思えないしね。
ツバキ属は4つの亜属に分かれるらしくて原始ツバキ亜属(グランサムツバキとか)、ツバキ亜属、チャ亜属、後生ツバキ亜属(ヒメサザンカとか)に分かれるらしい。
別亜属同士の交配は雑種不稔になりやすいみたいでグランサムツバキの交配種は知らないけどキンカチャとかヒメサザンカの交配種はF2ができる品種が少ないらしいね。
それならキンカチャとチャを交配して黄色いチャノキを作ればいいじゃんとか安直なことを考えたけどもうキンカチャを育てるスペースがないのが問題だ。
最近香りツバキが人気だけど、ヒメサザンカとの交配種が多いらしい。またもや安易にそれなら香りツバキ同士で交配すればいいじゃんと思ったけどそういう理由があったんだろうかな。
ヒメサザンカは確かにいい香りなのでどんな亜属とも子供ができる種馬のようなツバキがあればいいね。花期の早いと交配して秋から香るツバキなんてのも考えたけどやっぱり問題はありそうだ。
もう一つホンコンツバキ(Camellia hongkongensis)っていうのがあるらしいのね、ツバキ属の中で唯一青色色素デルフィニジンを持ってるらしくて青色ツバキ作出の星らしい。冗談でもいいからホンコンツバキの実生をやり続けるみたいなことをやってみたいけどどこにも売ってないんだよね。ツバキが有名な植物園みたいなところにはあるみたいだけど。植物園の人は切り枝でいいんで頒布してください。
それにしてもhongkongensisという学名の者は偉大なものが多いな
また次回
バラを買ったけど
一昨年~去年くらいに育種とか交雑の概念を知って、なんでも混ぜたら面白いじゃんと思っていた。バラは歴史的にいろいろ交雑して現代バラが作られているようだったので初心者でもマゼマゼして遊べそうだと思ったので色々収集した。
こんな花があったらいいなというのが木本で四季咲きで一重~半八重の白花で香りがあって花もちが良くて病害虫に強い、あわよくば実は食用というのが「ぼくがかんがえた最強の花木」だ。
もちろんそんな植物はないので似たような植物を探して(四季咲き・白花・香り)あたりをクリアしているバラに着目した。
とりあえずホムセンで適当な白バラを探しに行ったらホワイトクリスマスとオスカルフランソワが半額になっていたので購入してきた。ホワイトクリスマスは昨年咲いてくれたが幼木の内からいきなり何回も咲いてくれたせいか、現在かなり弱っている。そもそもホワイトクリスマスは病気に弱く、黒点病に罹りまくっていたのもあるかもしれない。オスカルフランソワは植える場所がなかったので転がっていた小さめのスリット鉢に詰め込んだからか咲かなかったが元気にしている。
八重咲のバラは黄色い蕊が全開になって見えるのが花の終わりかけなので一重~半八重のほうが好みに近いと気づいたので上の2種は戦力外通告となった。
次に候補にあがったのが白花ハマナス。花が好みに一致していることとローズヒップが利用されている品種らしいので食用条件を満たしていると思ったので導入。ここで気づくべきだったのは当初の鑑賞目的ということから完全に脱線し始めているということと以前ハマナスの実を食べた感想として美味しくなかったということだ。
この時はまだローズヒップ単体で美味しい種類あるだろうと思っていたのだけど調べるほど不味そうだなと思ったのでマゼマゼ理論を使って美味しい(少なくともそのまま食べられないこともないレベル)のローズヒップを考えるかと思ってさらに色々買ってしまった。
○ロサ・エグランテリア
ローズヒップティーに使われている品種らしく、葉がリンゴの香りがする。らしいが昨年の葉からは全く香りせず。ローズヒップティーは単体だと香りないらしいので葉での香りづけできないかと思ったけど新葉のほうが匂いが強いらしい。
○アルバ・セミプレナ
花形が好みなのとこれもローズヒップとして使われているので。アルバローズは6倍体なので2倍体のハマナスと交配したら4倍体ハマナス風にならないかなと思ったけど、まあそうはならないだろう。
ちなみに今年アルバの実でジャムを作ってみたけど砂糖を入れる前に潰した実を食べたらまあまあ不味かった。果実の熟度が水分を残したタイミングなら酸味があって食べられないこともなかった。
○ノイバラ
ノイバラの実は甘酸っぱいみたいなのを見たので河原で拾ってきた。拾って食べてみたこともあるけど、自分は馬鹿舌なのであの程度の量でそんな微量の味を感じ取ったことはない。ハマナスとの交雑種はコハマナスというらしい。不稔らしいのでそもそも果実ができないんじゃないだろうか。大株になったものは実がなったというのも見たが果実形がハマナス型かそもそも不明。
○ガートルードジェキル
バラの香りが広がったら素敵やんと思って買ったつるバラ。香りの強さランキングみたいなので大体上位にいる。ダマスクの香りらしいがスパイシー?系のハマナスにかけたらどうなるのかと思って買った。そもそもバラの香りの強さっていうのは遺伝するのか知らんけど。
その他ドリフトローズ、ミニバラ、テリハノイバラ、ハマナス実生、サンショウバラ、イザヨイバラなど
と、ここまで揃えて夏を過ぎた頃気づいた。これバラよりツバキのの白花のほうが花形が好みだな・・・。
元々ツバキとバラと迷ってツバキはチャドクガがなと思ってバラにしたけど、よくよく考えるとバラのめんどくささができるならチャドクガなんて余裕でしょう。そう思って秋ごろから完全にツバキに移行してしまった。
次回、ツバキ編
今年はスモモ
今年の冬はスモモの苗木を何種類か買った。彩の姫・李王・サマーエンジェル・ジュピター・レッドエース・メスレー。
昨年、太陽を食べてスモモの美味しさに目覚めたのでまたもや衝動買いだった。
棒苗だったので大して大きくならないだろうと思っていたけどスモモは非常に樹勢が強いもんだな。あっという間に2m近く伸びて普通の木なら徒長枝で切ってしまいたいけど仕立て方がわからないので冬まで剪定は我慢したい。
このブログで目標としているヤマボウシの品種改良もどきのことを思い、スモモも交配ごっこして遊べばいいじゃんと思ってとりあえず色んな品種を買ったけど今思えばもっと考慮して買えばよかったと思う。
スモモは多くが自家不和合性で受粉樹が必要とのことだったので受粉相性だけを考えて購入してしまった。自家和合性で豊産になるらしい彩の姫、その彩の姫で受粉できる李王。糖度が高いらしいサマーエンジェルと受粉相性が高いレッドエース。よくわからないけど評判が高そうだったのでジュピターとメスレーを買っておいた。
スモモの受粉相性にはS遺伝子型とかいうのが関わっているらしい。対立遺伝子がどーのこーので要は同じ遺伝子型のものでは果実がならないようだ。
サマーエンジェルと太陽は同じSbSc型で受粉できない。サマーエンジェルと受粉相性がいいレッドエースはSbSe型らしい。
そんな感じで受粉相性、交配親和性があるものは別の遺伝子型を持っている必要があるようだ。
他にも調べていると自家受粉する遺伝子型はSe,Sg遺伝子を持っているとかいう論文もあったが、そこでは自家受粉による種子の遺伝子型の分離についても書いてあった。自家受粉種子の遺伝子型はSbSgがbb、bg、ggに分離したというものであったが遺伝子型が遺伝するならいくつかのスモモ品種の親とされているものは実は間違っているんじゃないかと思った。
例えば李王はSaSe型なのに親のソルダムはSaSb、大石早生はScSdとなっている。Se遺伝子はどこから来たのだろうか。
ハニーローザSbSgはホワイトプラムSfSgから遺伝子型を受け継いでいるように見える。
3倍体の貴陽は太陽SbScとおそらく日本スモモ系統の小松からSf遺伝子をそのまま受け継いでSbScSfになっている。
いくつか遺伝子型が判明しているものを書き出してみましたがあまりにも遺伝性が一致していないのでまた検証してみます。
今年いろんなスモモを食べてみてイラついたのが離核性の悪い品種が結構あることです。その点やっぱり太陽は離核性が高く糖度も高くてジューシーな優れた品種であると思いました。これで豊産性で管理が楽ならよかったのに。
そもそも離核性がいい品種っていうのがあまりないんだなこれが。いつもの行きつけ農林水産省の登録品種検索で調べてみても大半が”離核性は粘!”ということなので困ったもんだ。そんな離核性が高い太陽はプルーンとでも交配したんですか?
次回に続く。
ツバキ・バラ・スモモ2
ツバキ買っちゃったんならもうバラもいいだろという思考に陥ってしまい、バラについても調べだしてしまった。
以前海辺でハマナスが群生していたのを見て、香りのある花と大きなローズヒップが付いているのを見て有用植物発見の血が騒いでいた。
美味しいとか諸説あるハマナスのローズヒップだが、そこのハマナスのヒップは普通にもっさりしていて味がなく不味いというほどではないけど次々食べたいようなものではなかった。
他のローズヒップ食べてみた的なブログを見ると冬の霜に当たるぐらい寒くなると甘みが増すようなことが書いてあったのだが群生地を見に行くとカッスカスに干からびたヒップしか残っていなかった。
課題としては単純なジューシーさと甘みが足りていないと思う。そこで目をつけたのが刺梨(ツーリー)ことヒメサンショウバラRosa roxburghii normalis。トゲトゲで黄色い実、酸味が強く、水気があり、実には少し香りがあるとのことだ。なんとDHCのビタミンCサプリの原料にもなっている。ちなみに原産地の中国ではドライフルーツとして利用されているらしい。そこで、バラといえば交配。ハマナスの赤みを保ちつつ、実の棘がなくてジューシーで甘い香りがする実ができれば最強じゃん!と思いぜひ交配してみたいと思った。
しかし、ヒメサンショウバラどこにも売ってない!ネット販売も一瞬で売り切れたレベルで販売中の表示を見れなかった。手に入れやすいのでヒメサンショウバラの八重咲品種”イザヨイバラ”というのもあり、雄蕊は全部花弁化してそうだが当面これで妥協しようと思う。
別途材料として検討した品種としてまずノイバラ。
甘酸っぱくて美味しいみたいなことが書いてあることが多かったので交配を検討した。昨年、ノイバラかわからないが藪に生えていた実を食べてみたが確かに不味くはなかったと思う。なんせ実が小さいので味の判断がしづらい。ノイバラにはマルチフロリンとかいうのが含まれていて少量でも緩下作用があるらしい。種子を覆っている毛も非常に蠕動運動を促しそう。他のローズヒップもこのマルチフロリンとかいうの含まれているのだろうか。一番の特色のビタミンC全部流れそうだけど。
ノイバラとの交配を調べているうちに大きな問題に直面した。♀ハマナス×♂ノイバラの自然交雑種であるコハマナスとかいうのがあるらしい。このコハマナスは果実ができないらしく何らかの遺伝的致死があるようだ。コハマナスに関する論文を読んでみるとハマナスとノイバラの交配実験によると実際♀ハマナス×♂ノイバラは結実しなかったらしい。交配親を逆にした場合は親の段階で結実率が低くなり実生ができづらいが、その中で1個体だけ結実したらしい。
実験場もなにもない私からしたら気が遠くなりそうな話ですが、できないこともないということだった。ノイバラは房咲きになるポリアンサローズの祖先として利用されたらしいのでハマナス以外だと普通に交雑できるのかもしれない。そもそもハマナスと実の形違いすぎるしね。中間的な形質のものを挟めばなんとかなるかもしれないけれど、また気が遠くなりそうな話だ。
次に検討したのが”ニュードーン”という品種。ノイバラよりも甘みがあると唯一ローズヒップの食レポが書いてあった。割と古典品種で強健、日陰でもガンガン育って開花するらしい。ホームセンターで半額になっていたので早速購入。しかし、三倍体であるということとトゲが結構激しいというところが問題点だろうか。ちなみにノイバラはトゲが少ないのでそのあたりも遺伝しないか期待していた。
ニュードーンが三倍体ということで交配できないじゃん!と思っていたが、どうやらニュードーンは多くのバラの交配親になっているらしい。まともな花粉はたしかにできにくいが稀にまともな花粉が生産されて受粉できるらしい。じゃあその子供は何倍体になるんでしょうか?
他にローズヒップで最も有名なイヌバラRosa caninaがある。イヌバラは五倍体で花や果実も大きめに見える。永久奇数倍数性とかいうよくわからん減数分裂するらしい。なんにせよ多倍体で実がデカいなら他のバラも多倍体にすれば実がデカくなるだろ!という安易な考えで交配してみたいと思います。
ハマナス系交配種のバラをハマナスRosa rugosaからルゴサ系とかハイブリッド ルゴサっていうらしいけど、なんか種類少なくない・・・?交配親も実生由来とか枝変わりみたいな明確な交配親があまり書いてない気がするのですが。ひょっとしてあまり交配に向いてないバラなんじゃないでしょうか・・・。まあ全部、混ぜたら最強のローズヒップできるっしょ!ってことで適当にやろうと思います。
アルバローズは六倍体らしいので(2+6)/2=4 ぐらいの簡単理論で4倍体ハマナス系品種ができてくれないでしょうかね。(育種や倍数性について素人なので見当違いのこと言ってても許してね)
二倍体のハマナスに三倍体のニュードーンの花粉をつけて六倍体のアルバをつけて今何倍体なんでしょうか。
バラの花にも嵌ってしまったので次回に続く。
ツバキ・バラ・スモモ
ヤマボウシについてだけ書くブログにしようかと思っていたけど、1年が長くて短いので他の有用植物に目移りしまくって昨年は色んな植物を購入してしまいました。
・元々ヤマボウシと同じ白い花が好きでバラ系の5弁で且つカップ咲きで且つ蕊が黄色みたいな白い花を探していた。最初に目をつけたのがツバキだったのだけれどもイマイチ好みの花形がなくチャドクガが付くかもしれない。バラも虫が作って言うしどうするべきか。そこで出てきたのがゴードニア!
ゴードニアはツバキ科の植物で日本ではあまり有名じゃないかもしれない。チャドクガが付きにくいらしい?という点で早速調査。
メルカリでゴードニアとだけ書かれて売られていたので早速飛びついて購入してみた。
晩夏に購入したが蕾が付いていて早速開花してくれた。
手持ちの樹木図鑑にはゴードニアの開花期は8月~10月と書いてあった。ゴードニアは何種類かあり今回購入したのは様子を見るにゴードニア・ラシアンサスGordonia lasianthus。もう1種類有名なのが冬に咲くゴードニア・アキシラリスGordonia axillaris。図鑑に載っているのはアキシラリスの写真なのに花期は上記のものであった。
アキシラリスを見ていないので葉の確認はしていないがラシアンサスは蕾が丸く膨らむ点で区別できる。ラシアンサスは北米原産で今冬屋外で越冬できたので耐寒性はあるようだ。花はやや弱めの香りがあった。
アキシラリスの特徴としては蕾が尖り房咲のように密集する。またアキシラリスは花期が冬で樹皮がまだらに剥げる。検索して出てきたブログでは大都会東京で雪にまみれるアキシラリスの写真が出ていたのでこちらも耐寒性はそこそこあるのだろう。
ちなみにアキシラリスは正確な分類はゴードニア属Gordoniaではなく今の分類はポリスポラ属Polysporaになっているらしい。またこちらも香りがあるらしい。
この後虫のことなんか忘れて結局バラにも手を出すんですけどまだツバキの続き。
花期が終わってゴードニアにもすっかり飽きた頃、やっぱり冬にも花が咲かないと面白くないなと思ってまたツバキのことを調べだした。今は納まりがいいので好きになったのだけどツバキの花弁が合着してるのがあまり好きではなかった。なのでちょうど花期であったサザンカにすればいいじゃん!と思って再度調査開始!
サザンカはツバキと違って芳香があり花弁が合着していないのでハラハラと散る。しかし、そのため平開咲きのものしか見当たらなくとりあえず好みの花形だった菊花茶となんか珍しそうなアザレアツバキを購入した。
後々調べるとサザンカの場所にはあったが菊花茶はなんとサザンカではなかった。正式名称はカメリア・グリシジーC.grijsii。香りはあるらしい。
アザレアツバキは春~秋に咲くツバキ属で四季咲きツバキの育種材料として期待されているらしい。葉はとてもツバキには見えないけど交配実績はあるらしい。とても現在の実力では花期の違う種類の交配はできそうもない。室内で育てていたら葉がどんどん落ちるので早く暖かくなって調子を取り戻してほしい。東南アジアのツバキなので5度以上推奨らしい。
菊花茶も東南アジア出身なので一応室内で育てていたが新芽が付いたぐらいで特に変化なし。ツバキは比較的南方の植物なので寒さに弱い種類も多くあるようだ。
他にもツバキの仲間で特徴的なのはカメリア・ルチェンシス C.lutchensis。ツバキ属の中で最も香りが強い品種として有名なルチェンシス。和名はヒメサザンカ。いつか購入したいと思っていたがなんとホームセンターをブラブラしていたら中苗が980円!早速購入したがめんどくさくてポットのままベランダに放置して冬を迎えたら真冬のある日、葉っぱがカッサカサに枯れているではないか!たくさん花芽もついていたがポロポロと落ちてしまう。今更ながら水やりをしたがダメそうなのでネットで追加購入。現在春前にして新芽をつけているような気がするので以外に丈夫かもしれない。沖縄が原産なので寒さには弱そうだが耐寒性は不明。水やりを忘れてたので乾燥にも弱いのかもしれない。
追加購入した苗は花芽が少なかったが3月になり順次開花。最初は芳香が弱めだったが咲き揃うにつれて香りが漂ってきた。バラで言う中香ぐらい。多花性らしいので満開になればかなり芳香がするようになるかもしれない。
ルチェンシスを交配親としたツバキの品種がいくつか作られている。芳香性は優性遺伝らしいので花形が好みな”千羽鶴”や花期が長い”初嵐”なども購入して交配してみたい。
バラとスモモはさらに話が長くなりそうなので次回に続く。
四照花(百度百科)考察
速攻ブログに飽きて夏から更新してなかったですけど、冬になって暇になったので何か書きます。
中国のWikipediaみたいなの、おそらくあのBaiduツールバーで有名な百度が運営している『百度百科』を見ていたら新たに気付いたことがあったのでまたまとめたい。以前も書いたけど。
中国名:四照花sizhaohua(発音があってるかは不明)こと日本名:ヤマボウシは植栽や日本の山奥にも自生している木本植物である!
赤い果実は食用にもなりカキやマンゴーに似た味がするとされている。今年そのあたりを念頭に食してみたところ早取り(8~9月頃)はカキ味に近く、完熟頃になるとマンゴーに近くなったような気がした。食用になるとされているにも係わらずあまり食用として普及しなかったのは柔らかすぎる果肉とやや硬い皮質の果皮のミスマッチ感が原因だと思われる。今年食べたものはあまり美味しいものがなく、同じ樹体から採れた果実でも味に大きな差があった。現在育てているものは街路樹等と違い管理が行えるので食味の変化に期待したい。
ヤマボウシには近年植栽などで多く使われている常緑性(半常緑性)のホンコンエンシスCornus hongkongensisが存在する。昨年、近所に植栽されているホンコンエンシスの実を食べてみたところ日本のヤマボウシCornus kousaよりも糖度が高く非常に美味であった。しかし、先ほどの果実の味差が顕著に表れるか否かを常緑ヤマボウシにおいてもしっかり確認したい。
今年ヤマボウシについて調べていて判明したことだがヤマボウシは他家受粉性らしい。しかし、昨年食べさせてもらったホンコンエンシスはどうやって受粉を行ったのだろうか。その場所は古めの住宅街で近隣にホンコンエンシスを植栽しているようなところは見当たらなかった。
・今年は昨年食べた場所のホンコンエンシスは結実していなかった。
・住宅街のホンコンエンシスはほぼ結実していない。
・手持ちのヤマボウシは道路一本挟んだ畑にヤマボウシが植わっていても受粉せず落花してしまった。
・昨年ビッグアップルを購入した際は受粉を行っていないにも関わらず、果実が肥大して赤く染まった。(味は不味かった。水分が飛んでいて乾燥していた。)
・住んでいる地域に送粉者が少ない。(日常的に見ることが少ない地域。探しぬけばいるかも。)
など、結実条件が適合しているようなしていないような、何とも言えない状況である。
果実としては来年の花芽もでた来年に期待したい。
本題
百度百科によると中国南部にはC.kousa var.chinensisやC.hongkongensis以外にもヤマボウシ亜属の種がいるらしく以前も紹介したけどあらためてまとめておきたい。また非常に手に入れたいが何か方法はないものだろうか。
・尖叶四照花 Cornus eliptica
C.anugustataやvar.angustataで表記されているものがあるがelipticaと同じもののようだ。いくつか中国の地方によって変種があるようだ。
アメリカなどでは販売されていてC.eliptica cv.”empress of China”などが見つかったがどういった点で差別化されているのか不明。日本のような煽り文句が少なくはっきりした違いが判らない。
違いが出やすい重要な花芽を確認したいが花芽が明確に写っている写真がすぐ見当たらなかったので差異を見出したい。パッと見はほとんどホンコンエンシスである。紅葉している写真があったので耐寒性もホンコンエンシスとほぼ同じか。甘みがあり食用にされているらしいのでぜひ欲しいところだ。アメリカで園芸品種化しているので比較的手に入れやすいかもしれない。
最近、植物の輸入は結構面倒になったようで検疫証明書がほぼ必須状態のようだ。防疫のために植物体は根を洗って完全に土を取り除いた状態で検疫や輸送を乗り越えて私が住んでいるクソ田舎まで運ばれてくるというのは植物がかなり衰弱しそうで自信がない。面倒くさがりなイメージがある海外業者がその手続きを経てくれるのか、はたまたグローバルな商売に慣れているのかなんともいえない偏見がある。そこで比較的輸入が楽そうな米国の種子販売業者のHPを見てみた。
Cornus属で調べてみるとC.kousaやC.capitataの中にC.capitata var.angustataというヤマボウシがあった。HP内の説明ではelipticaとも呼ばれると書いてあった。百度百科ではC.angustata var.angustataという名前のやつはあったが、C.elipticaはC.capitataの変種なのだろうか?百度百科やアメリカの園芸品種を見ると花の形が丸型でC.hongkongensis寄りに見える。しかし百度百科情報によると小花の数が50~80以上となっているので小花の数が多く100以上とされているcapitataに近いのかなという気がする。なにせ百度百科は載せられている写真が適当すぎてその種の写真のところにピンボケ写真やハナミズキの写真が普通に載せられているのではっきりしたことがいえない。せめて冬の花芽の様子がわかればhongkongensis系かcapitata系か独立種なのかがわかりそうなのだが。
その種子販売サイトではpacific dogwood(C.natterelli)という西海岸に生えている花弁の数が多いハナミズキの仲間みたいなのが売っているのでぜひ輸入に挑戦してみたい。
・ガビサンヤマボウシについて 黑毛四照花 C.melanotrichaと峨眉四照花 C.capitata var.eminensis
日本でも少数ながらガビサンヤマボウシというものが販売されている。名前の通り中国の名勝峨眉山付近にあるのだろうなというのはわかるが、なぜこんな微妙な奴が輸入されたのかはよくわからない。所持していないので正確な情報はわからないが特徴としては常緑性で花や葉が小さく、若い葉や葉柄に黒い毛が生えているとのことだ。学名もC.hongkongensis ssp.melanotricha、C.hongkongensis var.melanotricha、var.eminensis、C.melanotrichaなど表記揺れが著しい。おそらくホンコンエンシスの亜種・変種なのだろう。
日本で売られているガビサンヤマボウシはガビヤマボウシやガビサンエンシスなど色々な名前で展示されているが常緑性で花や葉が小さいという特徴は一致している黑毛四照花 C.melanotrichaのことでいいのだろう。小花の数は40程度。
また、複数の亜種・変種名が存在している理由として謎のヤマボウシ峨眉四照花C.capitata var.eminensisが見受けられた。まず落葉性ヤマボウシと記述されており、掲載されている写真も落葉性の葉に見える。しかし、C.capitataはヒマラヤヤマボウシ、ヒマラヤヤマボウシは常緑性だ。他の写真は常緑性の葉であったりC.elipticaに似た花であったりゴゼンタチバナC.canadensisに見えるような花もある滅茶苦茶ぶりであった。スケッチの写真や記載されている特徴から小花の数が60~70程度もしくは100以上とありと記述がコロコロ変わるがやや多めなのはC.capitata感もあるような気がする。
2種の特徴としては
・黑毛四照花 C.melanotricha 常緑性
花数:40程度 幅1cm
総苞片の特徴:幅1~3cm、長さ2~4cm
葉の特徴:幅2.7~5cm、長さ6~10cm
自生地:中国南部、峨眉山
・峨眉四照花 C.capitata var.eminensis 常緑性もしくは落葉性。C.capitataは常緑性。
花数:60~70程度、もしくは100以上 幅1.2cm
総苞片の特徴:幅1.5~5cm、長さ3.5~6.2cm
葉の特徴:幅2~3.4cm、長さ5.5~11cm
自生地:峨眉山
ガビサンヤマボウシの特徴である花や葉が小さいという点で総苞片がやや小さいC.melanotrichaに軍配があがりそうだ。2種の明確な差である花数や花芽の様子が確認できればほぼ間違いないだろう。販売されている写真では花の数が少なく見える。
落葉性との記述がある峨眉四照花も気になるが販売されていない上に中国の山の中にしか自生していないのでどうしようもできないところだ。