四照花(百度百科)考察

 速攻ブログに飽きて夏から更新してなかったですけど、冬になって暇になったので何か書きます。

 

中国のWikipediaみたいなの、おそらくあのBaiduツールバーで有名な百度が運営している『百度百科』を見ていたら新たに気付いたことがあったのでまたまとめたい。以前も書いたけど。

 

中国名:四照花sizhaohua(発音があってるかは不明)こと日本名:ヤマボウシは植栽や日本の山奥にも自生している木本植物である!

赤い果実は食用にもなりカキやマンゴーに似た味がするとされている。今年そのあたりを念頭に食してみたところ早取り(8~9月頃)はカキ味に近く、完熟頃になるとマンゴーに近くなったような気がした。食用になるとされているにも係わらずあまり食用として普及しなかったのは柔らかすぎる果肉とやや硬い皮質の果皮のミスマッチ感が原因だと思われる。今年食べたものはあまり美味しいものがなく、同じ樹体から採れた果実でも味に大きな差があった。現在育てているものは街路樹等と違い管理が行えるので食味の変化に期待したい。

 

ヤマボウシには近年植栽などで多く使われている常緑性(半常緑性)のホンコンエンシスCornus hongkongensisが存在する。昨年、近所に植栽されているホンコンエンシスの実を食べてみたところ日本のヤマボウシCornus kousaよりも糖度が高く非常に美味であった。しかし、先ほどの果実の味差が顕著に表れるか否かを常緑ヤマボウシにおいてもしっかり確認したい。

 

今年ヤマボウシについて調べていて判明したことだがヤマボウシは他家受粉性らしい。しかし、昨年食べさせてもらったホンコンエンシスはどうやって受粉を行ったのだろうか。その場所は古めの住宅街で近隣にホンコンエンシスを植栽しているようなところは見当たらなかった。

 

・今年は昨年食べた場所のホンコンエンシスは結実していなかった。

・住宅街のホンコンエンシスはほぼ結実していない。

・手持ちのヤマボウシは道路一本挟んだ畑にヤマボウシが植わっていても受粉せず落花してしまった。

・昨年ビッグアップルを購入した際は受粉を行っていないにも関わらず、果実が肥大して赤く染まった。(味は不味かった。水分が飛んでいて乾燥していた。)

・住んでいる地域に送粉者が少ない。(日常的に見ることが少ない地域。探しぬけばいるかも。)

など、結実条件が適合しているようなしていないような、何とも言えない状況である。

 

果実としては来年の花芽もでた来年に期待したい。

 

 

本題

百度百科によると中国南部にはC.kousa var.chinensisやC.hongkongensis以外にもヤマボウシ亜属の種がいるらしく以前も紹介したけどあらためてまとめておきたい。また非常に手に入れたいが何か方法はないものだろうか。

 

・尖叶四照花 Cornus eliptica

C.anugustataやvar.angustataで表記されているものがあるがelipticaと同じもののようだ。いくつか中国の地方によって変種があるようだ。

アメリカなどでは販売されていてC.eliptica cv.”empress of China”などが見つかったがどういった点で差別化されているのか不明。日本のような煽り文句が少なくはっきりした違いが判らない。

違いが出やすい重要な花芽を確認したいが花芽が明確に写っている写真がすぐ見当たらなかったので差異を見出したい。パッと見はほとんどホンコンエンシスである。紅葉している写真があったので耐寒性もホンコンエンシスとほぼ同じか。甘みがあり食用にされているらしいのでぜひ欲しいところだ。アメリカで園芸品種化しているので比較的手に入れやすいかもしれない。

 

最近、植物の輸入は結構面倒になったようで検疫証明書がほぼ必須状態のようだ。防疫のために植物体は根を洗って完全に土を取り除いた状態で検疫や輸送を乗り越えて私が住んでいるクソ田舎まで運ばれてくるというのは植物がかなり衰弱しそうで自信がない。面倒くさがりなイメージがある海外業者がその手続きを経てくれるのか、はたまたグローバルな商売に慣れているのかなんともいえない偏見がある。そこで比較的輸入が楽そうな米国の種子販売業者のHPを見てみた。 

 

Cornus属で調べてみるとC.kousaやC.capitataの中にC.capitata var.angustataというヤマボウシがあった。HP内の説明ではelipticaとも呼ばれると書いてあった。百度百科ではC.angustata var.angustataという名前のやつはあったが、C.elipticaはC.capitataの変種なのだろうか?百度百科やアメリカの園芸品種を見ると花の形が丸型でC.hongkongensis寄りに見える。しかし百度百科情報によると小花の数が50~80以上となっているので小花の数が多く100以上とされているcapitataに近いのかなという気がする。なにせ百度百科は載せられている写真が適当すぎてその種の写真のところにピンボケ写真やハナミズキの写真が普通に載せられているのではっきりしたことがいえない。せめて冬の花芽の様子がわかればhongkongensis系かcapitata系か独立種なのかがわかりそうなのだが。

 

その種子販売サイトではpacific dogwood(C.natterelli)という西海岸に生えている花弁の数が多いハナミズキの仲間みたいなのが売っているのでぜひ輸入に挑戦してみたい。

 

 

・ガビサンヤマボウシについて 黑毛四照花 C.melanotrichaと峨眉四照花 C.capitata var.eminensis

 日本でも少数ながらガビサンヤマボウシというものが販売されている。名前の通り中国の名勝峨眉山付近にあるのだろうなというのはわかるが、なぜこんな微妙な奴が輸入されたのかはよくわからない。所持していないので正確な情報はわからないが特徴としては常緑性で花や葉が小さく、若い葉や葉柄に黒い毛が生えているとのことだ。学名もC.hongkongensis ssp.melanotricha、C.hongkongensis var.melanotricha、var.eminensis、C.melanotrichaなど表記揺れが著しい。おそらくホンコンエンシスの亜種・変種なのだろう。

日本で売られているガビサンヤマボウシはガビヤマボウシやガビサンエンシスなど色々な名前で展示されているが常緑性で花や葉が小さいという特徴は一致している黑毛四照花 C.melanotrichaのことでいいのだろう。小花の数は40程度。

また、複数の亜種・変種名が存在している理由として謎のヤマボウシ峨眉四照花C.capitata var.eminensisが見受けられた。まず落葉性ヤマボウシと記述されており、掲載されている写真も落葉性の葉に見える。しかし、C.capitataはヒマラヤヤマボウシ、ヒマラヤヤマボウシは常緑性だ。他の写真は常緑性の葉であったりC.elipticaに似た花であったりゴゼンタチバナC.canadensisに見えるような花もある滅茶苦茶ぶりであった。スケッチの写真や記載されている特徴から小花の数が60~70程度もしくは100以上とありと記述がコロコロ変わるがやや多めなのはC.capitata感もあるような気がする。

 

2種の特徴としては

・黑毛四照花 C.melanotricha 常緑性

花数:40程度 幅1cm

総苞片の特徴:幅1~3cm、長さ2~4cm

葉の特徴:幅2.7~5cm、長さ6~10cm

自生地:中国南部、峨眉山

 

・峨眉四照花 C.capitata var.eminensis 常緑性もしくは落葉性。C.capitataは常緑性。

花数:60~70程度、もしくは100以上 幅1.2cm

総苞片の特徴:幅1.5~5cm、長さ3.5~6.2cm

葉の特徴:幅2~3.4cm、長さ5.5~11cm

自生地:峨眉山

 

ガビサンヤマボウシの特徴である花や葉が小さいという点で総苞片がやや小さいC.melanotrichaに軍配があがりそうだ。2種の明確な差である花数や花芽の様子が確認できればほぼ間違いないだろう。販売されている写真では花の数が少なく見える。

落葉性との記述がある峨眉四照花も気になるが販売されていない上に中国の山の中にしか自生していないのでどうしようもできないところだ。